バス

この前バスに乗った。
それなりに空いていたが１人用の席は埋められていた。

私は２人用の席に座った後２、３駅ほど進んだとき、
椅子は２人用の席にだいたい１人ずつ座っている状態だった。

人が多い停留所に止まり、人がながれこんでくる。
「ここよろしいですか？」
隣に人が座った。

その人はたぶん性別が女で
年齢３０代後半から５０代前半、若くも見えるし老けても見えた。
よくある近所のおばちゃんに似た顔をしていて
親しみやすい顔立ちだった。

見た目はよくいるおばちゃん、よく見る顔、
しかし、どこか違う感じがした。
一人一人違って当たり前なのだがどこか違う不思議な感じ、

あれだ、よくテレビで出る見た目は普通のおじいさん、
しかし正体は町の天才発明家、

そんな感じだ。
コナンみたいな人だ。

そうだ。

きっとこの人は昔、女子の高校生野球チームのエースで
世界を志した人だ。

念願の世界大会に出場し何度もホームランを打ち
相手の選手達を圧倒する、そんな女だった。

しかし試合の終盤、
相手選手が審判に文句を言った。
間違ってると。

そんなはずはない、そう返答した。
何度言っても同じだった。

審判に通じなかったため試合の相手に文句を言った。
しかし世界大会、相手の国に言葉が伝わるとは限らない。

何を言われてるのかわからない昔のおばちゃん、
通じなくてイライラしてる相手の選手、
つい、相手が手を出してしまった。

相手に悪気があったのかどうかはわからない。
一瞬のことだった。

気を紛らわそうと思って手を降っただけなのかもしれないし
相手が憎くて手を出したのかもしれない。

どっちにしろ相手は彼女を叩いた、
それに変わりは無いのだ。

彼女のチームと相手のチームは乱闘になった。
彼女と叩いた相手を残して。
相手は何を考えてたかわからない、言葉が通じないから。

相手はそれ以上叩いてこなかった。
ただこっちをじっと見てた。

にらみつけてるのかもしれないし
反省の気持ちの表れなのかもしれない。
彼女はうつむき周りを見ていた。

乱闘している相手のチームと仲間達、
回りの土がえぐれていた。

彼女らは殴り合っていた、目の前の敵を憎んで。
彼女らは失望していた、目の前の仲間を見て。


彼女が出場した大会での出来事は高校側が全て揉み消した。
無かったことになっている。

しかし彼女は覚えている、
あの日の思い出を、あの人の目を。











って妄想。